2025/04/18_区分所有建物について

区分所有建物について

 

区分所有建物、いわゆるマンションの形態は、戦後の住宅需要の高まりとともに日本に根付き、今では都市部を中心に多くの方に選ばれる住まいとなっています。
この仕組みは単なる「集合住宅」ではなく、法律によって支えられた独特な所有形態です。
今回はその歴史と、区分所有建物に関わる主要な法律についてご紹介いたします。


【目次】

1.区分所有建物とは
2.区分所有建物の誕生の歴史
3.区分所有建物に関連する法律
4.まとめ


 

1.区分所有建物とは

「区分所有建物」とは、マンションやビルのように、一つの建物が複数の部屋に分かれており、それぞれの部屋が個別に所有権の対象となっている建物を指します。
つまり、マンションの各部屋は、それぞれが一つの「区分所有建物」として扱われ、入居者は自分の部屋について、自己名義で所有権の登記を行うことができます。

このようにマンションなどの部屋を「区分所有建物」として登記するには、以下の条件を満たす必要があります。

①各部屋が構造上の独立性を有していること。
各部屋が、仕切り壁・床・天井等によって、他の部屋と構造上はっきり区別されていなければなりません。

②各部屋が利用上の独立性を備えていること。
各部屋は、それぞれが単独で住居、店舗、事務所、または倉庫として使用できるものでなければなりません。
そのため、たとえば日本家屋のように、隣の部屋や廊下との仕切りが襖や障子のみで構成されている部屋は、構造的に独立しているとは見なされません。また、たとえ1階と2階が天井で分かれていても、2階へ上がる階段部分が1階の部屋と襖や障子で仕切られているだけの場合には、1階と2階が明確に区分されているとは言えません。

2.区分所有建物の誕生の歴史

◆ もともとの日本の考え方

日本ではもともと、建物は一棟ごとに一人の所有者が持つという「一物一棟主義」が一般的で、建物を部屋単位で分けて所有するという発想はありませんでした。

◆ 1923年:関東大震災 → 復興住宅「同潤会アパート」登場

震災によって多くの人が住まいを失い、その復興のために「同潤会」という財団法人が設立されました。
その名前のついた同潤会アパートは、鉄筋コンクリート造で耐火性・耐震性が高く、上下水道・ガス・電気完備と、当時としては非常に先進的な集合住宅でした。
東京や横浜を中心に16棟が建設され、のちの集合住宅・マンション文化の原点となりました。

◆ 1941年:住宅営団の発足(同潤会を引き継ぐ)

同潤会の解散後、その事業や建物を引き継いだのが住宅営団で、同潤会アパートの管理や運営を担っていた団体です。

◆ 1950年:GHQの指令で住宅営団が解散 → 区分所有の始まり

戦後、GHQ(連合国総司令部)は住宅営団の解散を指示。同時に、同潤会アパートを1部屋ずつ住人に売却するよう命令しました。
これは、アメリカで一般的だった分譲型集合住宅(コンドミニアム)の考えを日本に導入する動きでした。
これが、日本における「区分所有マンション」誕生のきっかけとなりました。

◆ 1962年:法律の整備「区分所有法」の制定

区分所有という新しい所有形態を制度的に整えるため、「建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)」が制定されました。
この法律により、正式にマンションの一部屋単位での所有(区分所有)が法的に認められるようになります。

◆ 昭和30年代(1960年代)以降:マンションの急速な普及

都市部への人口集中・住宅不足への対策として、中高層マンションの建設が進み、日本住宅公団や民間デベロッパーが大量供給を開始します。
「マンション」という言葉もこの頃に定着し、都市居住の新しいスタイルとして人気となりました。

3.区分所有建物に関連する法律

区分所有建物に関連する法律として、以下のような法律があります。

◆ 区分所有法(正式名称:建物の区分所有等に関する法律)

制定年:昭和37年(1962年)
目的:一つの建物を複数の人が区分して所有(=区分所有)する場合の、権利関係や管理方法の基本ルールを定めています。
主な内容:
・専有部分・共用部分の定義 → 自分の部屋と共用スペースの区別
・管理組合の設置と総会の運営
・規約(管理規約)の設定
・建替えや解体の同意要件(原則5分の4以上)

 

◆ マンション管理適正化法(正式名称:マンションの管理の適正化の推進に関する法律)

制定年:平成12年(2000年)
目的:マンションの老朽化や管理の質の低下を防ぐため、適切な管理体制の整備を推進する法律です。
主な内容:
・管理業者の登録制度  → 管理業務を請け負う会社は国への登録が必要
・管理業務主任者の設置義務  → 専門資格を持った人が管理契約の説明などを担当
・管理組合への支援制度  → 管理の適正化に向けたアドバイスや情報提供

 

◆マンション建替円滑化法(正式名称:マンションの建替えの円滑化等に関する法律)

制定年:平成14年(2002年)
目的:老朽化が進むマンションの建替えや敷地売却をスムーズに進めるための制度を定めています。
主な内容:
・建替え決議の要件緩和  → 建替えは原則として区分所有者および議決権の「5分の4以上」の賛成で可能
・敷地売却制度  → 修繕困難なマンションを解体して敷地を売却できる制度(要件あり)
・建替え決議後の少数反対者への対処  → 裁判所の関与により、反対者の権利保護と事業の円滑化の両立を図る

これらの法律が建物販売後の管理や再生を支えています。

4.まとめ

マンションなどの区分所有建物は、現代の都市生活において欠かせない住まいの形となりました。
その成り立ちや制度の背景には、複数の人が一つの建物を共有しながら快適に暮らすための仕組みが存在しています。
今回の記事がオーナー様が安心して不動産を管理・運用いただくための一助となれば幸いです。

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出典:国土交通省(https://www.mlit.go.jp/common/000030443.pdf)(https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001843039.pdf
法務局(https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/index.html

 


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