2023/09/29_譲渡所得税について

譲渡所得税について

 

譲渡所得税は不動産を売却して利益が生じた場合に確定申告で支払う必要がある税金です。
売却した後で、「想定外の納税が…!」といったことにならないように、
よくある勘違いを交えて譲渡所得税についてご紹介いたします。


【目次】

1.譲渡所得とは
2.譲渡所得税の計算の仕方
3.短期譲渡所得と長期譲渡所得の違い
4.相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期
5.譲渡所得税のよくある勘違い
6.まとめ


 

1.譲渡所得とは

譲渡所得とは、一般的に土地、建物、株式等、ゴルフ会員権、金地金などの資産を譲渡や売却をすることによって生じた所得のことをいいます。
ただし、事業用の商品などの棚卸資産や山林の譲渡による所得は、譲渡所得にはなりません。

 

 

2.譲渡所得税の計算の仕方

土地や建物を譲渡した時の譲渡所得は、給与所得などの他の所得とは合算せず、個別に税額を計算する分離課税方式が採用されています。

譲渡所得金額の計算
収入金額 ー(取得費+譲渡費用)ー 特別控除額 = 課税譲渡所得金額

►収入金額とは、土地や建物を売ったことによって買主から受け取る金銭の額です。
►取得費とは、売った土地や建物の購入代金、売った土地や建物を購入したときに納めた登録免許税(登記費用も含む)、建築代金、購入手数料のほか設備費や改良費なども含まれます。なお、建物の取得費は、購入代金または建築代金などの合計額から所有期間中の減価償却費相当額を差し引いた金額となります。
※土地や建物の取得費が分からなかったり、実際の取得費が譲渡金額の5%よりも少ないときは、譲渡金額の5%を取得費(概算取得費)とすることができます。
►譲渡費用とは、土地や建物を売るために直接かかった費用のことをいい、仲介手数料、売買契約書の印紙代、売却するときに借家人などに支払った立退料、建物を取り壊して土地を売るときの取り壊し費用などです。
►特別控除額は、通常の場合ありませんが、各種の特例があります。
【一例:被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例】https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm

3.短期譲渡所得と長期譲渡所得の違い

所有期間によって短期譲渡所得と長期譲渡所得の2つに区分して、税金の計算を行います。
 
 短期譲渡所得 とは、譲渡した年の1月1日において所有期間が5年以下のものをいいます。
 長期譲渡所得 とは、譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるものをいいます。
※所有期間とは、土地や建物の取得の日から引き続き所有していた期間をいいます。この場合、相続や贈与により取得したものは、原則として、被相続人や贈与者の取得した日から計算することになっています。
 
 

ご注意ください!

例えば・・・
2018年9月15日に購入した建物を2023年12月1日に売却した場合、
2023年9月15日でカレンダー上の所有は満5年を超えていても、売却をした年の2023年1月1日時点では5年を超えていないため、これは長期譲渡所得とはなりません。
2024年1月1日以降に売却をすると、長期譲渡所得になります。

 
 

短期譲渡所得金額の税額の計算
課税譲渡所得金額×39%(所得税30%、住民税9%)
※2037年までは所得税に対して2.1%の復興特別所得税が加わります。

長期譲渡所得金額の税額の計算
課税譲渡所得金額×20%(所得税15%、住民税5%)
※2037年までは所得税に対して2.1%の復興特別所得税が加わります。

 

4.相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期

相続や贈与によって取得した土地・建物を売った場合の取得費は、被相続人や贈与者がその土地・建物を買い入れたときの購入代金や購入手数料などを基に計算します。なお、業務に使われていない土地・建物を相続や贈与により取得した際に相続人や受贈者が支払った登記費用や不動産取得税の金額も取得費に含まれます。
相続や贈与によって取得したときは、被相続人や贈与者の取得の時期がそのまま取得した相続人や受贈者に引き継がれます。したがって、被相続人や贈与者が取得した時から、相続や贈与で取得した相続人や受贈者が譲渡した年の1月1日までの所有期間で長期譲渡所得か短期譲渡所得かを判定することになります。
※取得費がわからない場合などには、取得費を売った金額の5%相当額とすることができますが、この場合には、相続人などが支払った登記費用などを取得費に含めることはできません。

5.譲渡所得税のよくある勘違い

譲渡所得税で、よくある勘違いをご紹介します。

『2,500万円で購入した物件を、15年後に、2,000万円で売却した。
  購入金額よりも安い金額で売却したから、損している。税金なんてかからない。』

上記では、損しているので譲渡所得税はかからないと思いがちです。
ところが、実際の計算では、購入金額から減価償却費相当額を差し引く必要があります。
例えば、減価償却費が年間で50万円の場合は、50万円×15年で750万円が減価償却費相当額になり、購入金額の2,500万円から750万円を差し引くので、1,750万円が取得費になります。売却金額が2,000万円の場合、利益が出ているので、譲渡所得税が発生します。

※譲渡費用、特別控除などは考慮せず、単純化して計算しています。厳密な計算とは異なります。

6.まとめ

今回の記事はいかがでしたでしょうか?
売却の際に、譲渡所得がプラスなら譲渡所得税が発生し、譲渡所得がマイナスなら譲渡所得税は発生しません。
ところが、購入金額をベースにプラスかマイナスかを考えてしまうと、想定外の納税が発生してしまうことがありますので注意が必要です。
物件を売却する際は、譲渡所得税も計算したうえで、計画的に進めることが大切になります。

 

また、この記事が少しでも「役に立った!」「面白かった!」「興味深かった!」という方は、記事の上部・下部にある『いいねボタン』のクリックをお願いいたします。今後の記事作成の励みになるとともに、オーナー様の興味のある記事はどんな記事なのか参考にさせていただきます。

 

参考文献
国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1440.htm


オーナー様専用サイトに関するお問い合わせ

オーナーサポート部
フリーダイヤル:0120-336-269(平日 9:00~18:00)
メールアドレス:os@skyc.jp