相続土地国庫帰属制度について
皆様は、相続土地国庫帰属制度はご存知でしょうか?
令和6年4月1日から施行されている不動産の相続登記が義務化になった背景の
所有者不明土地の発生を抑えるための対策の一つでもあります。
今回は、相続土地国庫帰属制度についてご紹介いたします。
【目次】
1.相続土地国庫帰属制度とは
2.手続きについて
3.引き取ることができない土地とは
4.まとめ
1.相続土地国庫帰属制度とは
相続した財産に土地が含まれていた場合、通常はご自身で活用をしたり、ご自身で活用できない場合には相続放棄する方法が考えられます。
これまでは、相続財産に不要な土地であってもその土地だけを放棄することができず、
不要な土地を含めて全て相続するか、他の資産も含めて全て相続放棄をするしか方法がありませんでした。
最近では、「遠くに住んでいて使う予定がない」「周りの土地に迷惑が掛かってしまうから管理をしなくてはいけないけど経済的な負担が大きい」
といった土地利用ニーズの低下により、土地を手放したいと考える方が増えています。
実際にその土地を活用することが望ましいですが、特に地方の土地は若者の都市部への流出により需要が低くなっており、
このようなことが所有者不明土地の発生の原因にもなります。
この所有者不明土地の発生を抑えるための対策として、相続や遺贈により土地の所有権を取得した方が、
土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする制度が、相続土地国庫帰属制度になります。
2.手続きについて
支店・出張所では相談を受け付けていませんので、ご注意ください。
法務局・地方法務局の支店・出張所では、承認申請の受け付けはできませんのでご注意ください。
申請から帰属の決定(却下、不承認の判断を含む。)までに、一定の期間(半年~1年程度)を要します。
提出は、窓口に持参する方法と、郵送による方法があります。
申請書には、審査手数料の額に相当する収入印紙を貼り、提出しますが、提出後、申請を取り下げた場合や、
審査の結果、土地を引き取れないと判断された場合であっても、審査手数料はかえってきませんので、ご注意ください。
審査手数料は、土地一筆当たり14,000円です。
・承認申請に係る土地の位置及び範囲を明らかにする図面
・承認申請に係る土地及び当該土地に隣接する土地との境界点を明らかにする写真
・承認申請に係る土地の形状を明らかにする写真
・申請者の印鑑証明書
※その他、申請者によって必要な追加書類は異なりますので、法務局へご相談ください。
負担金は、土地の性質に応じた標準的な管理費用を考慮して算出した10年分の土地管理費相当額です。
申請者は負担金の納付を求める通知に記載されている負担金額を、当該通知が到達してから30日以内に納付する必要があります。
負担金が期限内(負担金の通知が到達した日から30日以内)に納付されない場合、国庫帰属の承認が失効します。
失効させてしまった場合、再び同じ土地の国庫帰属を希望するときは最初から申請し直す必要がありますので、ご注意ください。
3.引き取ることが出来ない土地とは
相続した土地であっても全ての土地を国に引き渡すことが出来るわけではなく、
土地の管理コストの国への不当な転嫁やモラルハザードの発生を防止するため、法令で定める引き取れない土地については国庫帰属ができません。
✖ 建物がある土地
✖ 担保権又は使用収益権が設定されている土地
✖ 他人の利用が予定されている土地(現に道路のように供されている土地・境内地・墓地内の土地・用悪水路として利用されている土地)
✖ 特定の有害物質によって土壌汚染されている土地
✖ 境界が明らかではない土地・その他の所有権の存否や帰属について争いがある土地
✖ 一定の勾配・高さの崖がある土地のうち、通常の管理に当たり過分な費用・労力がかかる土地
✖ 土地の通常の管理・処分を阻害する有機物が地上にある土地
<想定される有機物の例>
果樹園の樹木や、放置車両、老朽化したブロック塀など
✖ 土地の通常の管理・処分のために除去しなければならない有体物が地下にある土地
<想定される有機物の例>
産業廃棄物、古い水道管、井戸など
✖ 隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ通常の管理・処分をすることができない土地
✖ その他通常の管理・処分をするに当たり過分な費用・労力がかかる土地
4.まとめ
今回の記事はいかがでしたでしょうか?
将来、相続が発生し、ご自身にとって不要な土地の場合、
処分をすることが大変だったり、引き取り手に困ってしまうことがございます。
そのような場合に、相続土地国庫帰属制度を方法の一つとして考えていただくのもいいかと思います。
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出典:法務省ホームページ(https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/foodstock/guidebook.html)
出典:政府広報オンライン(https://www.gov-online.go.jp/useful/article/202303/2.html)
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