2024/06/28_空き家対策について

空き家対策について

 

近年、空き家増加による様々な影響が問題となっています。相続や、高齢者の施設入居などにより一度空き家となると、そのまま放置されてしまう家も少なくありません。今回は、空家等対策の推進に関する特別措置法の改正や、空き家を放置したことにより税負担が増える可能性、そして空き家対策の例をご紹介いたします。


【目次】

1.空き家問題とは?
2.法改正について
3.税金の負担が増える?
4.空き家対策
5.まとめ


 

1.空き家問題とは?

今、日本では空き家が増え続けており、使用目的のない空き家の数はこの20年間で約2倍に増加しています。空き家を放置すると、倒壊、景観悪化、不法侵入など様々な悪影響が生じるおそれがあり、大きなトラブルにつながりかねません。

「空き家」とは?

「空き家」とは、一般的には「誰も住んでいない家」のことをいいます。
空き家は、所有している本人だけの問題ではなく、近隣にも大きな影響を与える存在となります。「そのうちどうにかしよう」などと考えて放置していると、空き家の状態が悪くなり、近隣住民に迷惑をかけてしまいます。どのような事情であれ、空き家の所有者にはきちんと管理する責任があります。

なぜ空き家になる?

空き家となる要因として、以下のようなきっかけが考えられます。そして一度空き家になってしまうと、そのまま放置されてしまうことも多いのです。

  • 実家を相続した
  • 1人暮らしの親が施設に入居した
  • 解体費用をかけたくない
  • 家財・荷物を片付けられない
  • 将来自分や親族が使うかもしれない

空き家を放置するリスクの一例

  • 倒壊
  • 景観の悪化
  • 不法侵入
  • 外壁落下
  • ねずみ・害虫など
  • 悪臭
  • 枝のはみだし

2.法改正について

空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律が令和5年12月13日より施行されました。法の改正により、特定空家に加えて管理不全空家も市区町村からの指導・勧告の対象となりました。

改正前の空家法は、対象となる空き家が特定空家の状態になる前の段階では、市区町村は指導や勧告といった措置をとることができませんでした。また、特定空家になってからの対応だけでは、増え続ける空き家への対応にも限界があります。

そこで令和5年、空家法が改正され、周囲に著しい悪影響を及ぼす特定空家になる前の段階から空き家の適切な管理が図られるよう、「管理不全空家」に対する措置が新設されたのです。

3.税金の負担が増える?

土地や家屋を所有していると、固定資産税などの税金がかかります。ただし、住宅やマンションなどの居住建物の敷地である「住宅用地」には、課税標準(固定資産税等の評価額)を引き下げる特例が設けられています。例えば固定資産税では課税標準が、住宅用地の面積200㎡以下の部分(小規模住宅用地)については6分の1に、面積200㎡を超える部分(一般住宅用地)については3分の1に減額されます。

 

 

しかし、空き家のある市区町村から「管理不全空家」や「特定空家」としての指導を受け、それに従わずに勧告を受けると、この固定資産税等の軽減措置(住宅用地特例)が受けられなくなります。

上記の表のとおり、住宅用地の面積200㎡以下の部分(小規模住宅用地)については6分の1に減額されるはずが、空き家として勧告を受けると単純に課税額が6倍になってしまうのです。これは、特定空家も、法改正で新設された管理不全空家も同様なので注意が必要です。

4.空き家対策

上記で説明した空家法改正では、所有者の責務も強化され、従来の「適切な管理の努力義務」に加えて、「国、地方自治体の施策に協力する努力義務」が課されることになります。空き家は放置される期間が長くなればなるほど、老朽化や損傷が進み、売買や賃貸などが難しくなってしまいます。空き家を所有していて将来使用する予定のない人は、早めに「売る」「貸す」「解体する」などの方針を決め、方針に合ったサービスなどを活用して実行に移しましょう。

親が元気なうちに話し合って方針を決めよう

空き家の発生原因は、半数以上が相続によるものです。親などが元気なうちによく話し合い、方針を決めておくことが重要です。

親が住まなくなった後の家をどうしたいのか、親の考えや思いを伝えないまま、こどもが実家を相続すると、空き家になった実家をどうするか方針がなかなか決まらず、そのまま放置されてしまうケースが珍しくありません。また、生まれ育った家に愛着がある、将来親族の誰かが使うのではないかなどと考えることで、売却することや貸し出すことをためらって、使用可能な住宅であるにもかかわらず、結果的に空き家になってしまうケースもあります。今は空き家でなくても、親の施設への入居やお亡くなりになったことなどをきっかけに、実家が空き家になってしまう可能性が十分に考えられます。

空き家にしてしまうことを避けるためにも、相続後は、「誰が住むのか」「売るのか貸すのか」「解体するのか」など、関係者で事前に話し合っておくことが大切です。

空き家を除却(解体)する

老朽化した空き家を除却(解体)する場合、国や市区町村の補助金を受けられることもあります。空き家がある市区町村のウェブサイトで調べるか、窓口に問い合わせてみましょう。

また、民間事業者と連携し、解体業者の紹介などを行っている市区町村もあります。

空き家を放置しないためにも、先送りは禁物です。空き家の老朽化や損傷が進む前に具体的なアクションを起こし、空き家のリスクから自分や家族、地域の安全を守りましょう。

空き家を改修する

空き家を「売る」「貸す」などの場合、事前に改修をすることも考えられます。ただし、「店舗として活用したいので、耐震性を高めたい」「住宅として貸したいので、見栄えをよくしたい」など、目的によって内容は様々です。まずは目的に応じてどんな改修を検討すべきなのか、建築士等の専門家と相談しましょう。

一定の要件を満たす改修工事を行う場合は、国や各地方自治体の補助金を受けられる場合もありますので、調べてみましょう。「○○市 住宅 補助」で検索したり、以下のサイトを利用したりして調べることができます。

 

地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト

住宅金融支援機構「空き家関連情報サイト」

空き家の活用サービスを利用する

空き家を手放したくないけれど、自分では管理ができないので、誰かに使ってもらいたい場合は、地域で活動するNPO法人などによる活用サービス(活用したい人とのマッチングや空き家の賃貸、管理など)を探してみましょう。市区町村によってはNPO法人や民間事業者と提携などを行い、サービスを紹介している場合もありますので、確認してみましょう。

空き家の売却に関する税制を活用する

空き家とその敷地を相続等で取得した場合、その空き家又はその敷地を売却するに当たって一定の条件を満たせば、所得税・個人住民税において譲渡所得から3,000万円までが控除される特例措置を受けることができます。ただし、令和9年(2027年)12月31日までに売却することが必要です。

空き家の家財を片付ける

空き家を「売る」「貸す」「解体する」いずれの場合も、空き家にある家財が問題になります。ご自身で片づけることもできますが、廃棄やリサイクルに向けた家財の分別、遺品の整理などをしてくれるサービスもありますので、活用してみましょう。

空き家の管理サービスを利用する

空き家を「売る」「貸す」「解体する」までの間は、空き家を適切に管理することが大切です。忙しかったり、空き家が遠くにあったりして自分で管理できない場合は、空き家の管理代行サービスを利用しましょう。サービスの内容や費用は事業者によって様々ですが、見回りや報告書作成をしてくれるサービスもあります。

空き家のある市区町村に相談する

空き家をどうするべきか決められない、適切な管理の方法が分からない、誰に相談すれば良いか分からないなどの悩みがある場合は、まず空き家のある市区町村の窓口に相談してみましょう。市区町村が「空家等管理活用支援法人」に指定しているNPO法人などから、空き家の管理や活用に関する情報提供や、買いたい人・借りたい人とのマッチングサポートなどを受けられることがあります。また、市区町村によっては空き家セミナーを開催しているところもあります。

東京都空き家ワンストップ相談窓口

5.まとめ

 

今回は、空き家対策についてご紹介いたしました。オーナーの皆様の中にも、ご両親から相続した実家を所有し続けている方や、ご自身の現在のお住まいを今後どうするか悩んでいる方もいらっしゃるかもしれません。適切に管理されず放置された空き家は、ご自身・ご家族・地域に大きなデメリットをもたらします。将来使用する予定がない場合は、今後の方針を早く決めていくことが大切です。

 

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〈参考文献〉

国土交通省HP
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000035.html


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