2024/07/29_東京都の賃料上昇とその未来予測について

東京都の賃料は上昇中!今後も上がり続ける見込みが高い理由とは

 

全国の賃料は2019年ごろに底を打ち、2024年時点において上昇傾向が続いています。中でも東京都は、賃料が力強く上昇しており、日本の賃貸市場をけん引している状況です。

不動産の賃料は価格に遅れて、ようやく上昇し始めました。今後、東京の賃貸市場はどのようになっていくのでしょうか。東京都の不動産賃貸市況や今後の動向について解説します。


【目次】

1.東京都の賃料の推移
2.価格と賃料の関係
3.今後の賃料上昇の見込み
4.まとめ


 

1.東京都の賃料の推移

近年、東京都の賃料は上昇傾向にあります。参考までに、直近1年間における東京都の賃料月別推移(分譲マンション)を示すと、下図の通りです。

〈参考〉
株式会社東京カンテイ「賃料月別推移」(https://www.kantei.ne.jp/report/rent/1343) のデータを基に作成

上記のグラフは、「東京都」および「東京23区」、「首都圏」における賃料月別推移を示しています。賃料の値動きの傾向は、東京都および東京23区、首都圏のいずれもほぼ同じです。2024年5月時点において、この3つのエリアの賃料は総じて上昇傾向にあります。賃料単価が上がっている要因としては、不動産価格が上昇している点が大きいです。不動産価格が上昇すれば、不動産の購入を諦めて賃貸物件を選択する人が増え、賃料も上がります。ただし、近年、賃料の上昇の恩恵を受けているのは、ファミリー向けが多いです。ファミリー向けは、元々購入需要が強いため、購入を諦めた人が賃貸市場に流れると賃貸物件の賃料が上がる流れになります。

一方で、単身者向けは、そもそも購入需要が弱いため、購入を諦めた人が賃貸市場に流れ込むといったことはなく、特段賃貸需要は強くなっていません。そのため、単身者向けの賃料の上昇傾向はファミリー向けよりも穏やかです。東京でも賃料の上昇傾向は全ての物件に等しく生じているわけではなく、間取りや立地によって異なります。

また、賃料には新たな賃貸借で決まる「新規賃料」と、既に賃貸借が締結されている貸主と借主との間で決まる「継続賃料」(例えば、更新時の改定賃料のこと)の2種類があります。上記のグラフは新規賃料の推移です。継続賃料の改定には、貸主と借主の双方の合意が必要です。また賃料の値上げ提案にともなう空室リスクを考慮すると、新規賃料が上昇傾向にあるからといって、必ずしも継続賃料が上がるとは限りません。逆に、原則として2年ごとの更新である継続賃料は、新規賃料に比べると変化が緩やかである点が特徴です。つまり、継続賃料は新規賃料が下落傾向にあっても下がりにくい傾向があります。

2.価格と賃料の関係

不動産における価格は賃料の先行指標とされており、価格が上がると遅れて賃料が上がり、価格が下がると遅れて賃料も下がる傾向があります。参考までに、1975年からの全国の地価公示の平均価格と家賃指数の推移を示します(グラフ1)。

〈出典〉
地価公示「国土交通省 地価公示」(https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_fr4_000043.html)
家賃指数「総務省 消費者物価指数」(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00200573&tstat=000001150147)

地価公示とは、国が毎年行っている土地単価の調査のことです。家賃指数とは、住宅の賃料の値動きを指数化したものとなります。

上記のグラフ1では、地価公示も家賃指数も1975年から共に上昇し続けています。地価公示のピークはバブル時代における1991年です。それに対して、家賃指数のピークは2003年となっています。ピークだけを見ると、賃料は価格よりも12年遅れて訪れていることがわかります。家賃指数のピークが遅れて訪れるということは、今後、仮に不動産価格が下がったとしても、賃料はしばらく上昇が続く見込みがあるということです。

近年は、日本の土地価格は2013年より上昇傾向が続いている状況です。近年の状況を示すために、直近過去15年の地価公示と家賃指数の推移を示します(グラフ2)。

 

〈出典〉
地価公示「国土交通省 地価公示」(https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_fr4_000043.html)
家賃指数「総務省 消費者物価指数」(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00200573&tstat=000001150147)

土地価格は2012年を底値として、2013年より上昇傾向を示しています。それに対して、家賃指数は2019年を底値として2020年より上昇し始めました。家賃指数は、ようやく上がり始めたばかりであり、2024年時点は価格とともに上昇傾向が続いている状況です。

3.今後の賃料上昇の見込み

東京都の賃料は、今後も上昇していく期待値が高いといえます。理由としては、賃料の先行指標である不動産価格がまだ上昇する見込みが強いからです。

日本の不動産価格が上昇した理由は、2013年ごろから始まった日銀の低金利政策の影響が大きいとされています。日銀は、2024年3月の金融政策決定会合以降、マイナス金利政策を解除する方針を示し、徐々に金利を上げる方向に動き出しています。しかしながら、市場への影響を考慮し、金利は時間をかけながら少しずつ上昇させていくものと予想され、実質的な低金利環境は当面続くことが予想されます。そのため、不動産価格は当面上昇し、仮に価格が下がり出しても賃料上昇は生じる可能性もあることから、賃料は引き続き上昇する見込みが強いです。

4.まとめ

 

以上、東京都の不動産賃貸市況や今後の動向について解説してきました。東京都および東京23区の賃料は、総じて上昇傾向にあります。賃料の先行指標である価格は、まだ上昇する見込みが強いです。東京都の賃料は、価格の上昇に伴って引き続き上昇していくことが期待されます。

 

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