2025/01/17_8020運動について

8020運動について

 

8020運動は、「80歳になっても自分の歯を20本以上保とう」という、歯の健康維持を促進する運動です。
健康な歯を保つことで、食生活が豊かになり、生活の質が向上します。年齢を重ねても自分の歯で美味しく食べることができるよう、日々のケアが大切です。
この記事では、8020運動と歯科疾患の予防対策についてご紹介します。


【目次】

1.8020運動とは
2.歯科の二大疾患
3.むし歯
4.歯周病
5.歯の健康を助けるグッズ
6.まとめ


 

1.8020運動とは

「8020(ハチ・マル・二イ・マル)運動」は、「80歳になっても自分の歯を20本以上保とう」という運動です。
平成元年(1989年)に厚生省(当時)と日本歯科医師会が提唱して開始されました。
8020運動が提唱される以前、「一生自分の歯で食べよう」という標語がよく使われていましたが、「8020」は、これを「数値目標化」したものといえます。

「80」は、提唱当時の日本人の平均寿命(平成元年簡易生命表)が男性75.9歳・女性81.8歳でしたので、男女合わせた平均寿命に相当します。
※現在の平均寿命(平成30年簡易生命表)は、男性81.3歳・女性87.3歳と、「80」を大きく上回るようになりましたので、8020運動は「80」をゴールとする捉え方から、より健康な高齢期を過ごすための運動という意味合いに変化しつつあります。

一方「20」は「自分の歯で食べられる」ために必要な歯の数を意味します。今までに行われた歯の本数と食品を噛む(咀嚼)能力に関する調査によれば、だいたい20本以上の歯が残っていれば、硬い食品でもほぼ満足に噛めることが科学的に明らかになっています。
【図1】はその代表的な調査結果で、どの性・年齢層でも自分の歯が20本以上残っている人の咀嚼状況は良好であることがわかります 【図1】歯の本数別にみた「何でもかんで食べることができる」人の割合


2.歯科の二大疾患

「8020」を達成するためには「歯の喪失をいかにして防ぐか」がポイントとなります。
歯の喪失の二大原因はむし歯歯周病です。
つまりむし歯予防と歯周病予防を充実させることが、歯の喪失の防止と活動能力(ADL)や生活の質(QOL)の維持につながります。    

3.むし歯

1.むし歯とは

むし歯は細菌が糖質をもとに作り出す酸によって歯が溶かされて、歯に穴があく病気です。
唾液は酸を中性に近づけたり、溶けかけた歯を修復する役割を持ちます。多くのむし歯は歯の間や奥歯の溝から発生し、特に溝の細菌は歯磨きでは取り除けません。
そのため歯磨きをしていればむし歯が防げるという常識は現在では正しくないことが分かっています。



 

2.むし歯の予防法


むし歯を作る要因は、歯の質・細菌(むし歯原因菌)・食物(砂糖)の3つにまとめることができます。
それぞれの要因に対応する形でむし歯予防法は、フッ化物利用とシーラント・歯みがきの励行・糖分を含む食品の摂取頻度の制限にまとめることができます。
これらの予防法が、家庭で・地域で・保健サービスの現場で、バランスよく組み合わされて行われることが必要です。 以下で紹介いたします。

フッ化物利用
フッ化物利用は、歯質のむし歯抵抗性(耐酸性の獲得・結晶性の向上・再石灰化の促進)を高めてむし歯を予防する方法です。
全身応用(経口的に摂取されたフッ化物を歯の形成期にエナメル質に作用させる)と局所応用(フッ化物を直接歯面に作用させる)があります。 有効性・安全性に関する証拠が確認されています。

シーラント
シーラントは、奥歯の溝を物理的に封鎖したり、シーラント材の中に含まれるフッ化物により再石灰化作用を促進したりするむし歯予防法です。
4年以上で約60%のむし歯予防効果が認められ、特にフッ化物応用との併用によってむし歯予防効果はさらに増加します。むし歯発症リスクの高い歯に行うと特に有効です。

甘味(砂糖)の適正摂取
砂糖はむし歯のリスク・ファクターのひとつであり、摂取方法によってむし歯の発症に影響を与えます。
むし歯予防には、甘味(砂糖)摂取の総量を減らすこと、およびその摂取回数を減らすことは効果的です。ただし、砂糖摂取を制限するだけでは、むし歯予防対策として不十分なため、フッ化物配合歯磨剤の利用など併せて取り組むことが大切です。  

4.歯周病

1.歯周病とは

歯と歯ぐき(歯肉)の隙間(歯周ポケット)から侵入した細菌が、歯肉に炎症を引き起こした状態(歯肉炎)、それに加えて歯を支える骨(歯槽骨)を溶かしてグラグラにさせてしまう状態(歯周炎)を合わせて、歯周病といいます。
細菌の作り出す酸によって歯が溶かされて、歯に穴があく病気がむし歯で、歯周病はむし歯とは大きく異なる病気です。

 

2.歯周病予防

歯周病予防の基本は歯垢がつかないようにすることで、毎日の歯みがきや定期的な歯石除去が有効です。
しかし歯周病になった場合は歯科医師や歯科衛生士がもっと専門的に歯の清掃をしたり咬み合わせの調整を行ったりします。また重度の場合は歯ぐきの手術が必要なこともあります。

歯周病は歯垢、つまり細菌の固まりが歯ぐきの炎症を引き起こすことから始まります。
口の中で細菌はバイオフィルムという薄い膜を作り歯に張りついています【図2】。 【図2】プラークの正体  


バイオフィルムは薬品が効きにくいため、毎日のていねいな歯みがきや歯科医院での清掃が有効です【図3】。 【図3】バイオフィルムの特徴    


5.歯の健康を助けるグッズ

プラークコントロールは歯ブラシによる歯みがきが基本ですが、電動歯ブラシ歯磨剤・洗口液を併用すると効果が上がると考えられます。 歯ブラシでは磨けない歯と歯の間の清掃には、デンタルフロス歯間ブラシといった補助道具が便利です。

歯磨きの順番は、一般的にはフロスや歯間ブラシを先に行い、その後歯ブラシを使うのが効率的といわれています。
歯と歯の間の汚れを取り除くことで、歯ブラシに含まれるフッ素などの有効成分が歯間部まで行き渡りやすくなるからです。 また歯間部の汚れを取り除くことで、歯磨き粉の薬用成分が隅々まで行き渡り、むし歯や歯周病の予防に効果的になります。  


6.まとめ

今回は8020運動についてご紹介いたしました。

口腔の疾患はさまざまな全身疾患と関連していることが報告されており、口腔の健康状態は全身的な健康状態と密接な関連があります。
歯を大切にすることで、食べる楽しみや健康を長く保つことができます。毎日のケアと定期的な歯科受診で歯を守り、8020の達成を目指しましょう。

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出典:厚生労働省 e-ヘルスネット(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth

 


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