贈与税について
令和3、4年度の税制改正大綱に"相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直す"と記載されていることに対して、暦年課税が廃止される可能性についてうわさされるようになりました。この記事では現行の生前贈与の制度についての説明や税制改正大綱の内容についてご紹介します。
【目次】
1. 現行の贈与税の制度とは
2.令和4年度税制改正大綱について
3.今後何が変わっていく可能性がある?
4. まとめ
1. 現行の贈与税の制度とは
現行の贈与税の制度は、2つの課税方法から選択することになっています。
2つの課税方法は「暦年課税」と「相続時精算課税」です。
暦年課税とは
贈与税の課税方式のひとつで、1月1日から12月31日までの1年間に贈与された財産の合計額に応じて課税される方式のこと。
ただし、1人当たり年間110万円の基礎控除額があるため、贈与を受けた金額が110万円以下なら贈与税の申告が不要です。
参考・引用ページ:国税庁HP 贈与税の計算と税率(暦年課税)
相続時精算課税とは
相続時精算課税の制度とは、原則として60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。この制度を選択する場合には、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日の間に一定の書類を添付した贈与税の申告書を提出する必要があります。
なお、この制度を選択すると、その選択に係る贈与者から贈与を受ける財産については、その選択をした年分以降全てこの制度が適用され、「暦年課税」へ変更することはできません。
また、この制度の贈与者である父母又は祖父母が亡くなった時の相続税の計算上、相続財産の価額にこの制度を適用した贈与財産の価額(贈与時の時価)を加算して相続税額を計算します。
参考・引用ページ:国税庁HP 相続時精算課税の選択
2.令和4年度税制改正大綱について
2021年12月に発表された令和4年度税制改正大綱の「相続税・贈与税のあり方」の本文を
一部抜粋してご紹介します。
文中には“現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直す”と書かれおり、贈与税について将来的な見直しをほのめかすような内容になっています。
-----------------以下相続税・贈与税のあり方の一部抜粋-----------------
今後、諸外国の制度も参考にしつつ、相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直すなど、格差の固定化防止等の観点も踏まえながら、資産移転時期の選択に中立的な税制の構築に向けて、本格的な検討を進める。
あわせて、経済対策として現在講じられている贈与税の非課税措置は、限度額の範囲内では家族内における資産の移転に対して何らの税負担も求めない制度となっていることから、そのあり方について、格差の固定化防止等の観点を踏まえ、不断の見直しを行っていく必要がある。
3. 今後何が変わっていく可能性がある?
現在の税制で、暦年贈与の110万円までは非課税という制度には、相続開始前3年以内に贈与を受けた財産について相続税の対象になるというルールがあります。令和4年度税制改正大綱には"諸外国の制度も参考にしつつ"と書かれているので将来的には外国のルールに習い、現行の相続開始前3年以内から変わる可能性があると言われています。
主要国の贈与財産の持ち戻し年数比較
日本:過去3年分
アメリカ:過去全て
イギリス:過去7年分
ドイツ:過去10年分
フランス:過去15年分
4. まとめ
今回は、令和4年度税制改正大綱をもとに記事を作成いたしました。令和3年度、4年度税制改正大綱から相続税・贈与税について税制を見直すような内容が書かれており、令和4年度税制改正大綱で暦年贈与が廃止になるのではないかという噂が各メディア等でとりあげられておりました。しかし、令和4年度税制改正大綱の内容を見る限りでは2022年中に暦年贈与の廃止や変更はなさそうと言えそうです。一昨年と昨年と2年連続で相続税・贈与税のあり方について指摘されているので、今後、将来的な税制変更の可能性については注視していく必要があるかもしれません。
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