2023/10/16_相続税評価額の新たな算定法や具体的事例での算定例について

相続税評価額の新たな算定法や具体的事例での算定例について

 

10月16日に発送のスカイオーナーズ倶楽部通信Vol.17で「マンション財産評価方法の見直し案について」の記事を掲載しています。今回は紙面スペースの関係上掲載できなかった相続税評価額の新たな算定法や具体的事例での算定例についてご紹介いたします。

 

「マンション財産評価方法の見直し案について」(スカイオーナーズ倶楽部通信Vol.17)

→ https://skyc-socsp.jp/wp-content/uploads/2023/10/vol17_web.pdf


【目次】

1.現行のマンションの評価額の算定法
2.新たな算定法
3.具体的事例での算定例
4.まとめ


 

1.現行のマンションの評価額の算定法

国税庁から2023年7月21日に「居住用の区分所有財産の評価について」の法令解釈通達(案)が発表され、2024年1月1日以後の相続等から、マンションの評価額の算定法が変更になる予定です。

 

現行のマンションの評価額の算定法は以下の通りです。

「建物の価額(=建物の固定資産税評価額)」+「敷地の価額(=路線価×敷地面積×共有持分)」

参考記事

「相続税評価額について」 → https://skyc-socsp.jp/ownersclubsp_post131

「路線価について」    → https://skyc-socsp.jp/ownersclubsp_post93

2.新たな算定法

新たな算定法により評価する背景としては、マンションの「相続税評価額」と「時価(市場売買価格)」に大きな乖離が生じているケースが確認されているためです。「相続税評価額」と「時価(市場売買価格)」が乖離する主な要因は、建物の評価額では、築年数や建物の総階数、マンション1室の所在階など、土地の評価額では、敷地持分が狭小なケースがあり立地条件の反映が不十分なことが挙げられます。そのため、新しい算定法では「築年数」「総階数(総階数指数)」「所在階」「敷地持分狭小度」の4つの指数に基づき、評価額を補正するようになります。

 

新たな算定法は以下のとおりです。

 

①従来の評価方法で「建物の価格」「敷地の価格」を計算

 

②評価乖離率を計算

評価乖離率 = A + B + C + D + 3.220

A = 築年数 × ▲0.033

B = 総階数 ÷ 33 × 0.239(総階数 ÷ 33が1を超える場合は1)

C = 所在階 × 0.018

D =((敷地面積 × 共有持分)÷ 専有面積)× ▲1.195

 

③評価水準を計算

評価水準 = 1 ÷ 評価乖離率

 

④評価額を計算する

評価水準が0.6未満の場合 : 従来の評価方法での評価額 × 評価乖離率 × 0.6

 

評価水準が1を超える場合 : 従来の評価方法での評価額 × 評価乖離率

3.具体的事例での算定例

【 具体例 】

築年数  :15年

総階数  :10階

所在階  :7階

敷地面積 :201.68㎡

共有持分 :2,089 / 75,034

専有面積 :20.89㎡

①従来の評価方法で「建物の価格」「敷地の価格」を計算

従来の評価額:約500万円

 

②評価乖離率を計算

A = 築年数15年 × ▲0.033 = ▲0.495

B = 総階数10階 ÷ 33 × 0.239 = 0.072

C = 所在階7階 × 0.018 = 0.126

D =((敷地面積201.68㎡ × 共有持分2,089 / 75,034)÷ 専有面積20.89㎡)× ▲1.195 = ▲0.322

評価乖離率 = A + B + C + D + 3.220

▲0.495 + 0.072 + 0.126 + ▲0.322 + 3.220 = 評価乖離率2.601

 

③評価水準を計算

評価水準 = 1 ÷ 評価乖離率2.601 = 0.384

 

④評価額を計算する

評価水準が0.6未満なので、

従来の評価方法での評価額約500万円 × 評価乖離率2.601 × 0.6 = 約780万円

 

 

この具体例の場合、現行の評価額は約500万円でしたが、新たな算定法による評価額は約780万円となり、約280万円の評価増となります。しかしながら、この部屋の分譲価格は2,430万円でしたので、現金をマンションの1室に換えたことで相続財産を約1,650万円圧縮したことになります。現行の算定法より相続財産の圧縮額は減るものの、それでも十分な相続税の節税効果が期待できます。

4.まとめ

 

この相続税評価額の見直しにより「相続税評価額が高くなる→相続税の負担が増える」というニュースが目立つため、マンションを活用した相続税対策ができなくなったと捉えられている方も多いようです。しかしながら、これからも実勢価格とマンションの評価額の差を活用して相続財産を圧縮することは相続税対策の有効な手段ということできるでしょう。

最後になりますが、この見直しによるマンションの評価については、国税庁が簡易に計算するためのツールを用意する予定ですので、ご所有のマンションの評価額を正しく把握するためにも活用していただければと思います。

 

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